グローバル化がますます進みつつある現代では、ビジネスの現場で英語を使わざるを得ないことが増えてきました。就職活動時はもちろん社内評価にもTOEICスコアが利用されることも珍しいことではなくなってきたため、TOEICのスコアと年収の関係について一度は気になったことがあるのではないでしょうか?ここでは巷で誤って認識されているTOEICスコアと年収の関係について、改めて紹介していきましょう。
TOEICと年収の関係についての結論
まず最初に結論を述べておくと、TOEICスコアと年収の関係について以下のように言うことができます。
- 年収が高い人にはTOEICスコアが高い人が多い
- TOEICスコアが高いから年収が高いわけではない
- TOEICスコアをアップさせることで年収を上げるチャンスが大きく増える
これら3点について、データとともに順番に見ていきましょう。
TOEICスコアと年収の関係
まずは、TOEICスコアと年収について2つのデータを見ていきましょう。
1つ目のデータは、大手転職サイトのDODAは2013年12月、2012年10月~2013年9月末までの間にDODAエージェントサービスに登録した、ホワイトカラー系職種で正社員として働く約10万人のデータを基に作成した「平均年収/生涯賃金データ2013」の中で発表したものです。
上記のデータに基づきTOEICのスコア別の平均年収を調査・分析したところ、次の図のような傾向があることが分かりました。
出所:スコアが高いほど、年収は高い?!TOEIC®テスト スコア別平均年収
グラフを見るとわかるように、TOEICスコアが400〜600点台までは平均年収がほとんど変わりませんが、700点以上ではスコアが上がるにつれて平均年収が上がるという相関関係を確認することができます。
スコア別の平均年齢はスコア400点代が34.0歳であることを除き、全体的には33歳前後でほとんど変わっていません。
また、全体の平均年収446万円に対して、TOEICスコアなし(未受験)の人の平均年収は423万円と全体平均より低く、スコアを持っている人の平均年収である522万円と約100万円もの差がついていることが分かります。
この関係から、少なくとも「年収が高い人ほどTOEICスコアも高い」という事実が分かります。
もう1つのデータは少し古いですが、外資系企業の転職に強い大手転職サイトJACリクルートメントが、2010年の同社の転職支援実績に基づき「英語力」と「TOEICスコア」、「転職決定年収」・「転職決定率」との関係を調査した結果を公表しています。
JACの調査によれば、「英語力」は本人申告による英語力(「初級」「中級」「上級」の大きく3段階)が高いほど、「転職決定年収」「転職決定率」が共に高くなることが分かりました。
出所:No.8 英語力・TOEICと転職決定年収・転職決定率の関係
上のグラフを見てみると、本人申告による英語力「初級」「中級」「上級」により転職時の決定年収が層が分かれており明確に差として表れていることが分かります。一方、実際の「TOEICスコア」と「転職決定年収」を本人申告による英語力別に集計すると「TOEICスコアが高い」こと自体は「転職決定年収」とは無関係であることも分かりました。
TOEICスコアが必ずしもその人の実際の英語力を表しているわけではないという点は事実であり、JACリクルートメントでも同調査結果を基に「個人にとってはTOEICスコアが600点程度に達した後は、点数を高めるよりも実務上での英語の実践力を高めるほうが効果的である」ことが示唆されると結論づけています。
つまり「TOEICスコアが高いから年収が高いわけではない」ということが分かります。
高いTOEICスコアにより年収アップのチャンスが上がる
「TOEICスコアが高いから年収が高いわけではない」のであれば、「TOEICスコアを頑張って上げる意味なんてないじゃないか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には「TOEICスコアをアップさせることで年収を上げるチャンスが大きく増える」ということを見てきましょう。
TOEICの主催団体であるIIBCでは、2017年1月~2018年8月にTOEIC Programの公開テスト団体一括受験申込あるいは団体特別受験制度を利用した2,442の企業・団体を対象に英語活用について多方面から調査を行った英語活用実態調査2019(企業・団体)によれば、TOEICのスコアを採用や昇進・昇格に使っている企業・団体は、採用時には全体の約半分(49.1%)、昇進・昇格時には3割以上(32.0%、課長昇進時)にもなります。
出所:企業・団体が求めるTOEIC® Programスコア
出所:企業・団体が求めるTOEIC® Programスコア
今後TOEICスコアを採用や昇進・昇格に使う可能性があるという回答まで含めれば、かなり高い割合でTOEICが必要となる可能性が高いことがわかります。
そして、求められるスコアこそ業種・職種や役職により異なりますが、概ね700点〜860点程度のスコアがひとつの高い壁となっていることが読み取れます。
また、この傾向は転職でも同様に見られ、実際に大手転職サイトへ登録する場合にはTOEICスコアの入力が求められ、ある程度の年収以上の求人では「英語の実務的な運用能力」や「具体的なTOEICスコアが基準以上であること」を条件としていることも非常に多いことがわかります。
これらのデータから「TOEICスコアをアップさせることで年収を上げるチャンスが大きく増える」と言えることがわかります。
「英語を活かしてキャリアアップを実現させたい」と少しでも考えているのであれば、こちらの記事もおすすめです。

まとめ
ここではTOEICと年収の関係について、大手転職サイトのDODA・JACリクルートメントおよびTOEICを主催しているIIBCが公表しているデータを紹介しました。
特に重要な点は、多くの企業・団体がTOEICのスコアを採用や昇進・昇格に使っている(または使うことを検討している)点であり、英語学習への投資は、就職や転職、異動や昇格など、年収アップにつながるチャンスに巡り合える可能性が大きく高まります。年収アップを実現したいという方は、ぜひTOEICテストを活用することで実践的なビジネス英語を磨いていきましょう。
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