留学、特にMBA(経営学修士)の留学を考えている方はGMATという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
「GMATを受験してみたい」「試験の特徴はなんだろう」と考えている方も多いのですが、試験の詳細について世間で出回っている情報は充実しているとは言えず、よく質問を受けます。
そこで今回はGMAT(ジーマット)試験とはどういう試験なのかについて紹介していきましょう。
GMAT(ジーマット)とは?
試験の概要
GMAT(ジーマット)とは、Graduate Management Admission Testの略で、世界中の約2,000のビジネススクール・約5,000のプログラムで出願時に利用される、大学院レベルにおいてビジネスを学ぶために必要な分析的思考力・言語能力・数学的能力を測るための民間資格試験です。
非営利財団であるGraduate Management Admission Council(GMAC)が提供しており、GMATは同財団の登録商標となっています。
また、ビジネススクールの入試以外でも、大手企業において管理職登用の条件として一定水準以上のGMATスコアが要求されるなど、企業の人事制度でも指標として採用されることが増えてきています。
試験形式
GMATはコンピューター上での受験(Computer Based Test;一般的にCBTと呼ばれる)形式で実施されます。実質の試験時間は約3.5時間で、年間最大で5回まで受験できます。
GMATは以下の4つのセクションから構成されます。
- Analytical Writing Skill(ライティング)
- Integrated Reasoning(総合推理)
- Quantitative Reasoning(数学)
- Verbal Reasoning(英語)
GMATは「論理的思考能力を試される試験」であり、とくにVerbalセクションでの高得点確保は一筋縄ではいかず、相応の準備と対策が必要となります。
また、GMATはCAT(Computer Adaptive Test)方式の問題となっており、Computer Adaptiveという名の通り、それまでの回答の正解不正解によりコンピュータが自動的に問題の難易度を変えてきます(問題のスキップや見直し、修正等は一切できません)。
受験するには?
日本では全国各都市のテストセンターで、月に3〜6回程度、試験を実施しています。月により試験回数が異なっているので注意が必要です。
- 受験料:250 USD
- 受験会場:日本では東京、名古屋、大阪、福岡
- テスト結果:各セクションごとのスコアと総合評価のスコアが示された成績証明書。有効期限は5年間。
- 受験資格:13歳以上
詳細は公式ページ(URL:https://www.mba.com/exams/gmat?nav=header)もご覧ください。
他の試験との違い
他の海外留学に用いる代表的な試験としては、TOEFLやIELTSがあげられます。
TOEFLやIELTSとの大きな違いは、TOEFLやIELTSが言語能力を問う試験である一方で、GMATは言語運用能力が一定度あるという前提で、数理能力や論的な思考力があるかも合わせて問う試験であるという点です。
TOEFLやIELTSについてはこちらの記事もご覧ください。
試験内容と出題形式
GMATでは各セクションで決定されたスコアから調整することで、トータルスコアを200点~800点とするよう採点されます。世界の全受験者の平均スコアは約530〜550点です。ちなみに欧米の「トップスクール」と称されるほぼ全てのビジネススクールで680点以上(実質700点以上)のスコアが求められます。
先に紹介したように、GMATはCATと呼ばれる受験生の正答度合いによって問題の難易度が変わってきます。当然難しい問題ほど配点が高くなるなど、配点が変わってきますので、「このセクションでは一問が何点の配点になっている」ということはできません。そのため本試験での心構えのために代表的なパターンを知っておくことが重要になってきます。
ここでは各科目の詳細について見ていきましょう。設問数は大まかな目安です。
Analytical Writing Skill(ライティング)
- 回答時間:30分
- 設問:1問
- スコア:0~6.0(0.5刻み)
AWA(Analytical Writing Assessment)では、エッセイをコピー・ペースト機能つきのワープロを使い直接画面に入力していきます。目標回答時間は30分です。
スペルチェックやグラマー(文法)チェック機能は使えないようになっています。
Integrated Reasoning(総合推理)
- 目標回答時間:30分
- 設問:12問
- スコア:1.0~8.0(1.0刻み)
Integrated Reasoningは大きく4種類の問題に分けられます。英語さえ読めるのであれば、数回演習することで高得点を稼げます。
- Table Analysis
- Graphics Interpretation
- Multi-Source Reasoning
- Two-Part Analysis
Table Analysis
スプレッドシートのような並べ替えできる表から情報を読み取り、選択肢の内容が正しいかどうかを判断する問題です。
Graphics Interpretation
図やグラフから読み取れる情報をもとにドロップダウン・リストの選択肢から正解を選択する問題です。
Multi-Source Reasoning
タブごとに分かれている2~3ページの文章や図表から読み取れる情報として適切なものを選択する問題です。
Two-Part Analysis
与えられた情報に基づき、2つの要素について正しい内容を選ぶ問題です。
Quantitative Reasoning(数学)
- 回答時間:62分
- 設問:31問
- スコア:6~51(1.0刻み)
Quantitative Reasoningは2つの大問から構成されています。
- Data Sufficiency
- Problem Solving
Quantitative Reasoningでは難問が出題されるわけではないため、できるだけ満点近くのスコアを取得できるよう平均的に時間を配分していくことがポイントです。
Problem Solving
代数学や幾何学などの基本的な数学の知識から、問題に対して速く正確に解答する力が試されます。
Data Sufficiency
GMAT独特の出題形式であり、初めてテストを受けるほとんどの人が戸惑うことでしょう。質問に答えるために、与えられた2つの情報が2つとも必要か、もしくは片方だけ必要か等を判断し、5つの選択肢から適切な内容を選びます。「ひっかけ問題」に騙される人も多く、質問と与えられた情報を正確に理解することが成功へのカギです。
Verbal Reasoning(英語)
- 回答時間:65分
- 設問:36問
- スコア:6~51(1.0刻み)
英語力にもよりますが、日本人にとって全問解答することが特に難しいセクション。最初の10問で難易度(つまりその後の最大スコア)が決まると言われており、最初の10問は20分強かけてでもしっかり正解しておきたいところです。
Verbalは大きく3つの問題から構成されます。
- Sentence Correction
- Critical Reasoning
- Reading Comprehension
Sentence Correction
1つの文の一部または全部に下線が引いてあります。下線部分に当てはまる最も適切な表現を5つの選択肢から選びます。英語を母国語とするネイティブ・スピーカーが日常的に間違って使っている語法や、誤解しやすい文法に関する知識・文体・意味的な適切さなどが重点的に問われます。
Reading Comprehension
ビジネス・科学・社会に関するトピックのパッセージが4つ出題され、各パッセージに関して3~4問の設問が出題されます。限られた時間の中で、文章を速く正確に理解する力が試されます。
Critical Reasoning
論理力が試される問題です。短い文章を読んで、筆者の意見を補強したり、結論を批判したり、文章と合致する内容を選んだりといった、様々な種類の問題があります。
まとめ
GMATの概要についてはお分かりいただけましたか?概要が分かったならば、今度はどのように試験の対策を行っていくか確認していきましょう。
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